そして僕は、風をあつめて
(neoB)

なんなんでしょうか、この生き物。
精霊のくせにフリーターだし。

このページがどうなってゆくかは、
たぶんneoB本人もわかっていません。
そもそも連載になるのかどうかさえ疑問です。

ホントなんなんだろ?
これは。


neoBのプロフィール
種族・・・精霊
出身地・・・四次元
職業・・・フリータ−
生年月日・・・その時々
性格・・・無気力 
性別・・・見る人による
住所・・・
台風の目等の風のないところ以外
血液・・・風
好きなもの・・・うちわ
嫌いなもの・・・壁
地球に存在する目的・・・
休憩を広める
好きなタイプ・・・
風のような人

2000/04/04 「空を見る場所」

空が広がっている。
白い雲が何でもない感じに流れてる
いつものただの青空。
つまんないくらいに。
でも、こんなにゆっくりと眺めていることは
いつ以来だろう。
こんなにも落ち着かない場所なのに
ゆったりした気分でいられるのは
きっと、青すぎる空をとても近く感じられるせいに違いない。

ビルというビルはみんな目線よりも低いところに広がっていて、
鳥達もこの場所よりも下の方で、
ゆらーっと飛んでいる。

街で一番背の高い建物の上の方に
ちょこんと飛び出した白い金属の出っ張りは
ちょうど腰をかけるのにぴったりな感じのサイズで、
身動きとることは出来ないけれど、
きっと、この街中で、一番空が近い場所。

心のバランスか、体のバランスを崩してしまったら、
空よりも、遠くに見えている地面が
目の前に大きく広がってしまうような場所だけど、
この心地よさは全てを忘れさせてくれる。
何もかも。

このままここで
誰にも邪魔されず、誰の邪魔もせず、
石ころよりもちっぽけな存在の
青い固まりにでもなって、
この景色の一部として
なんとなく空を眺めていたい。



   

2000/01/12 「箱と箱の隙間」

ここにいること。
ここから逃げること。
ここで感じられること。
ここでは感じられないもの。

時間なんてものには形は無くて
私にだって形は無い。

そこに風が吹く時
私が風を感じられれば
私の存在が確かめられる。

たくさんの言葉が私の邪魔ばかりし、
途方も無い方向へと全てを追いやって行く。

全ては箱から箱へ。
ビルも電車も車も家も箱。

箱と箱の間に
ほんの少しだけ隙間があって
ほんの一瞬だけ箱から解放される。

その一瞬の解放感を突くのが
この新しい仕事に違いない。

それにしても、
何でみんな私の配る物を受け取ってくれないんだろう?
少し先にいる赤い頭の奴は
2個づつさばいてる。
手の角度がいけないんだろうか?
声のタイミング?
基本的に立つ位置が間違っているのだろうか?
まあ、いいか。
この箱が片付かない限り、
この隙間をゆっくり感じられるんだから。

    

     

1999/12/24 「箱からの逃亡」

まるで自分が粉々になっていくような音がする。
ザザッ・・ズザザッ・・・ザザザッ・・・ズザザザッ・・・
握り締めた砂が固まらないように
思考がまとまらず
目の前の景色が全て白くなっていく。
潰れそうになる心を
痛すぎる心を感じて
私はようやく我に帰った。

「もう、休憩しなくては・・・」

伝票の山に埋もれて電卓をたたいているTENCHOの横を
机の上の紙と言う紙をバラバラと落としながら
私は仕事場と言う名の箱の中から飛び出した。
店長のどこまでも響くような怒鳴り声は
もう私には届かない。
強いビル風に背中を押され
次々変わる青い信号に吸い込まれるように
いくつもの交差点を超えて、
街を走り抜けた。
人間の少しでもいない方へと
いくつもの角をまがって行くと
私がまだ見たことのない
違和感のある街の風景にたどり着いた。

突然聞こえ出した鐘の音に反応して、
何もない土の上に広がっていた
ひと回り小さな人間達が
高い叫び声をあげながら
箱の中に逃げ込んでいく。
その景色の中へ足を踏み入れた私は
懐かしさの感じる土の香りの上に倒れ込んだ。

仰向けになると、そこには小さな青空が
弱々しく広がりきれずにあった。

「休憩しなくては・・・」
「本当の風を見つけなくては・・・」
「アルバイトモサガサナクテハ・・・・」
「キュウケイヲヒロメナクテハ・・・・・」

いつまでも空を眺めてている私を
再び鳴ったの音に押し出されるように
土の上に流れて来たその人間達が
不思議そうに覗き込んだ。
一人の小さな人間が目を輝かせ
私の足を持った。
「これ、飼育しよう」
そこにいた他の小さな人間達も私の体を持ち
ずるずると土の上を引きずって
静かなコンクリートの箱の中へと運んでいった。
「死んでるんじゃないの?」
「重すぎるよ」
「青すぎない?これ・・・」
力のなさそうな小さい彼等は、息を切らせながら
木の階段をぎしぎしと音をたてて昇り、
何度も休憩しながら
彼等の箱と見られる所まで私を運んだ。
私は目を開けることもなく
ただただ彼等に身を任せたままだった。
ようやく辿り着いた油の匂いのする
小さな机の並んだ「キョウシツ」と
彼等の呼ぶ箱のなかに私を転がした。
「どこに隠しておく?」
「このまま置いておけば?」
「逃げちゃうんじゃないの?」
「じゃ、そこだな」
たくさんの帚を投げ出し、私をその箱の中に押し込んだ。
「明日からちょっと学校が楽しみ」
いくつかの冷たい笑い声が小さく聞こえた。
「飼育しよう」
「餌は何だろう?」
「残ったパンでしょ。やっぱり。」
「飼育だぁ」
「飼育かぁ」
扉に棒のようなものを立て掛ける音がした後、
彼等はだらだらとした足音を残して
箱の中から出ていった。


1999/12/13
『フリータ−、ネオ』

あぁ、精霊である私が
なぜ働いてしまっているのだろう。

風の音を聴き
ただ、佇んでいたかった。
それだけだったはずなのに。

この三次元と言う壁ばかりの世界で
この無気力な私が、
こともあろうに
フリーターなどと言う職業に
どうして就いてしまったのだろうか。

風のように働けるなどと言う言葉に
惑わされてしまった。

そうに、違いない。

この星、地球と言う名の星に
私が存在する目的は、
多分、「休憩を広める」だったような
そんな気がする。

果たして、その目的は果たされているのだろうか。
空調とか言うものがあるがために、
大好きなうちわさえも使えない。

なのに、なにかできる訳なんてない。

私の体を流れていた風さえも、
汚れた空気で淀んでしまっている。

呼吸なんてとんでもない。

あれは、人間とやらがつくり出した幻想。
こんな所で風を体に入れたりなんて、
私には出来ない。

本当の風が欲しい。

優しく心を撫でるような風が欲しい。

あああああ、また休憩時間を
ビルの谷間で過ごしてしまった。
ビル風との休憩で
また心が荒れてしまった。

もとの世界に帰りたい。
帰るためには確か、
「休憩を広める」という使命を果たさなくてはならない。

こんなことなら、
本当の風のない所にいるくらいなら、
噂に聞いた『台風の目』とかいう
風のないその場所で

何もせずにただ
死んだように眠りたい。

それは、どこに行けばあるのだろう。

本物の風のある場所なんて
きっともうここにはない。

休憩なんて広められやしない。

こんな場所に私を送った
他の精霊達に天罰が下れば

せめてもとの場所に帰れるのに。

そうだ。せめて、
この日本とか言う国から脱出すればいいんだ。

でも、どうすれば
地球上の他の所に行けるのだろう。

パスポートがいる?
いや、私は精霊。
発行されるはずもない。

この場所では、国籍不明住所不定無職と言う
とんでもない「人間」に造り上げられてしまってる。
性別さえも「見る人によって違う・・・」
そんな扱いを受けている。

ああああ、どうすれば善いんだろう。
休憩時間も残り・・・
「3分???」

そろそろあの箱の中に帰らなくては。
TENCHOUに怒鳴られてしまう・・・・
でも、もう少し・・・・
もう少しだけ・・・・・

「ネオ!!お前はなんでそんなにやる気がないんだ!!!」
「首にするぞ!!!!!」

おやおや、また本当にドナラレテシマッタ。
「クビ」ッテナンダロウ。

ナンダロウ。

・・・ソウカ、ワタシハ

ツギノアルバイトヲ
ミツケナクテハ・・・・・

ミツケナクテハ・・・・・


         

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